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地場産業に誇りを。ビーチサンダルからうまれた絆がまちを一層熱くする。

神戸市 KOBE CREATORS NOTE


九十九(株式会社TSUKUMO):

2013年創業。「地場発×アジア初」の世界に通用するビーチサンダルブランドをつくることをビジョンに掲げ、昔ながらの製法でひとつひとつ丁寧にビーチサンダルを生産している。

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画家/CBA:

神戸市長田区に工房を構える。グラフィックデザイナーを経て現在はカンディンスキー理論、クラフトワークなどのテクノ理論を使用した抽象絵画を描く。


今回のコラボで生まれた、ビーチサンダルの発祥の町・長田区の魅力を発信する
「飾れるビーチサンダル」

STORY

2020年秋。ビーチサンダル発祥の地である神戸市長田区は、ビーチサンダルの国内生産にこだわる九十九代表の中島氏と協働して、地域を盛り上げようとしていた。地場産業に誇りを持ってもらい、日本のものづくりの技術をつないでいきたい。その思いを汲み上げた長田区で活動するCreative unit DOR(一般社団法人DOR)の岩本氏が企画人となり、当時の長田区長である増田氏の力も借りながら、クラウドファンディングを実施。抽象絵画家のCBA氏に依頼したビーチサンダルデザインが話題となり、クラウドファンディングは成功を収める。九十九代表の中島氏とCBA氏に当時の話を伺った。


株式会社TSUKUMO 代表 中島広行さん


−神戸市長田区がビーチサンダルの発祥の地なんですね。

中島さん:まだまだ全国的には知られていませんが、ビーチサンダル(ゴムでできた草履)は1950年代に神戸市長田区のゴム製造企業から生まれたと言われています。世界中に広がった商品となりましたが、需要の減少や生産拠点の海外移転によって長田区での生産量は減少。そして、阪神・淡路大震災により長田区でのビーチサンダル製造は途絶えていました。私は2013年にビーチサンダルを製造・販売する九十九を創業しましたが、すぐに海外での生産に限界を感じるようになりました。製造スピード、最低注文数、クオリティにおいて、課題があったのです。日本で製造できないかと考えていたとき、神戸市長田区に設備は残っているけれど廃業している工場があると知りました。直接足を運び、ビーチサンダルの可能性やニーズをお伝えし、目に見える結果を出すことで、工場の再稼働が実現しました。今では日本で唯一の国産ビーチサンダルとして、オリジナルの生産ラインを確立しています。神戸市長田区ではビーチサンダルの台・鼻緒を製造し、組み立ては加古郡稲美町の工場で行っています。


−認知度を上げるため、CBAさんにデザインを依頼し、クラウドファンディングにチャレンジされたと伺いました。

中島さん:長田区役所とは、ビーチサンダル発祥の地として長田区を盛り上げようということで、2021年に事業連携協定を締結しました。その取り組みの一環に、クラウドファンディングがありました。Creative unit DORの岩本さんが中心となり企画したものです。

CBAさん:私は岩本さんから、クラウドファンディングについて話を伺いました。2020年の春に神戸市へ移住し、長田区に工房を構えたのですが、その際に神戸市のクリエイター支援制度を活用させていただいたんです。区役所とのお付き合いの流れで、移住者の声を掲載するwebサイト「シタマチコウベ」に記事を掲載したいとお話がありました。そこでのインタビュアーが、岩本さんだったんです。インタビューとは別のタイミングでクラウドファンディングの話を聞き、おもしろそう!と二つ返事でした。あっという間に中島さんとの顔合わせを目的とした食事会がセッティングされ、長田のことや今回のプロジェクトのことなど、たくさんお話をしました。


画家 CBAさん


−CBAさんははじめから、やってみたい!と前のめりだったのですね。

CBAさん:グラフィックデザイナーを経て、その延長線上の自分の表現手段が抽象絵画なので、商業的なデザインについて全く抵抗がありませんでした。人生経験が豊富で懐が深い中島さんの人柄に惹かれたことも大きいのですが、長田のざらっとした感じをデザインに入れたい、長田のカッコよさを広めたいと、すぐにギアが入りましたね。秋から年末にお話をいただいて、お正月早々には描きはじめていました。


−進行はスムーズだったのでしょうか。

CBAさん:長田について何も知らない状態だったので、古くから付随している単語を思いつくだけ用意してほしいと依頼しました。岩本さんと前区長の増田さんが中心となり住人の意見なども集めていただいたようです。「ぼっかけ」や「鉄人」など50ぐらいの言葉をいただきました。それらを自分の中に落とし込んだとき、「ざらっとした感じ」と捉えたんです。装っていない。風が吹くように生きている。でもシャープでクールな印象は必須。ビーチサンダルの形ではなく、土台ありでデザインができるという後押しもあり、キャンバスに描くのとそう遠くなく進めることができました。ノリに乗っていたので5案提出し、その中から3案を選んでいただきました。進行はスムーズだったのですが、あえて言うなら、中島さんからの返信が遅かったことが不安でした(笑)。

中島さん:1人でやっているので、申し訳ないです。しょっちゅう携帯を持っているはずなのに全然つながらないと怒られています(笑)。


取材中も、掛け合いのように笑いの絶えないおふたり。


−進行がスムーズだったことがよくわかりました(笑)。難しかったことはありませんでしたか。

CBAさん:はじめからテーマが長田で、性別や年齢層を超えたものという明確なビジョンがあったことが大きいですね。私の絵画を気に入ってくれていて、自由にやってほしいと言われていたこともスムーズだった理由だと思います。

中島さん:私の方は、ビーチサンダルという物の性質上、どうしても思った通りの色が出ないことを懸念していました。CBAさんには前もって、白い台が一番発色がいいことをお伝えし、さらに過去の事例をお見せして発色の具合について認識していただきました。

CBAさん:グラフィックデザインでもそうですが、思った色を出すのは、印刷技術が向上した現代であってもかなり難しいことです。中島さんからいただいた過去の事例がかなり参考になりましたし、色が多少ぶれても問題ないデザインを意識しました。デザインの素材となる物を100点ほど描き、その中から素材を選りすぐり、写真で撮って、配置してというコラージュの手法で最終的なデザインを完成させました。

中島さん:もう一つ、ふだん抽象絵画を描かれているCBAさんにとって、キャンバスとしてのサイズが小さかったかなと心配もありましたが、グラフィックデザイナーをされていたことから、どのような大きさでも対応可能だと言っていただき安心しましたね。飾れるビーチサンダルとして本当に素晴らしいものを作っていただきました。


インタビューの会場として、長田区にある、地域活性化を通じたアーティストの表現活動の場
「角野邸」を利用しました。


−クラウドファンディングでは目標を達成し、応援コメントもたくさんいただいたと伺っています。

中島さん:そうですね。長田区在住の方の支援がやっぱり多かったです。その後のオンラインの注文も、長田区在住の方からが増えました。地場産業への興味・誇りにつながっていれば嬉しいですね。クラウドファンディング後は、企業からのお声がけや取材のご連絡が増え、ビーチサンダルの幅が一気に広がりました。今ではアパレルはもちろんのこと、コンサートやスポーツなどのイベントでのお声がけも多くいただいていますし、鉄道や自動車メーカーなどたくさんの企業とコラボ製品を製造しています。なにより日本製でクオリティが高いことに評価をいただいています。


会場を変え、長田区にあるCBAさんの工房へ


−協業を考えている企業とクリエイターへメッセージをお願いします。

中島さん:企業はクリエイターを外部に求める機会が多いと思います。神戸市は企業とクリエイターがマッチングする素地があります。役所の方々が親身に相談に乗って紹介してくださることもそうですし、この神戸クリエイターズノートもあります。つなぐ場として、より整備されていくことを期待しています。私はCBAさんと協業したことがきっかけで、まだ知名度の低いクリエイターさんからデザイン募集をして製品化するプロジェクトを立ち上げたいと考えているところです。クリエイターさんには積極的に発信していてほしいですね。企業の方はクリエイターさんに気軽に声をかけてみてはいかがでしょうか。

CBAさん:クリエイターは、作品を作り続けることがなにより大事です。いつか、なにかに結びつくためには、作品がないとはじまりません。そして、企業からお声がけいただいた案件は能動的に挑戦すること。作品もチャレンジする姿も、きっと誰かが見て声をかけてくれるはずです。

中島さん:神戸市はグローバルなまちです。神戸空港の国際化が決定しましたし、大阪では万博も控えているので、今後の企業・クリエイターの活躍が楽しみですよね。


中島広行さん(左)と、CBAさん(右)


株式会社TSUKUMOの詳細


CBAさんについて

CBAさんの作例(インスタグラム)
https://www.instagram.com/dmocba/


文章:梶本 佳世

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