見出し画像

一つ上のステージへ。デザインの力が中小企業をもっと強くする。

富士電工株式会社:

メーカー技能を持つ、電線の専門商社。国内に3拠点と海外に4拠点を設け、多種多様な技術的支援をプラスした製品を取り扱う。2021年に70周年を迎え、CONNEXTをスローガンに新たな歩みを進めている。

×

コウベビューティー株式会社:

神戸を拠点に事業課題やブランディングを、デザインとシステムで解決する。企業の懐に入り込み、丁寧なヒアリングを実施。各企業に最適なデザイン・システムを構築することに定評がある。


今回のコラボで生まれた、富士電工株式会社のWEBサイト

STORY

富士電工株式会社の吉田社長は2021年に70周年を迎えることから更なる飛躍に向けて、新たなロゴの作成やWEBサイトのリニューアルを希望していた。しかし本社のある東京で依頼する会社を探すも思うように進まない。神戸在住の取締役が「神戸のクリエイターであれば合う人がいるはず」と神戸クリエイターズノート事務局に相談したことで、最高のパートナー、コウベビューティー株式会社の江藤さんと巡り合うことになった。


富士電工株式会社 代表取締役社長 吉田 博さん


−2021年に70周年を迎えられたそうですが、どのようなお気持ちだったのでしょうか。

吉田さん:電線の問屋は地味なものです。しかし70年となるとさすがに、長いことやってきたなと感慨深いものがありました。そこで企業イメージやビジュアル面などを大きく変えたいと思い、まずは70周年のロゴ制作を検討しはじめました。我々のような中小企業、しかもBtoBの企業では、メイン事業以外の部分で多額の予算をかけることはできません。構想はありましたが、小さいことやできることから一つずつやっていこうと思っていました。


−そこで声をかけられたのが江藤さんだったんですね。

吉田さん:神戸在住の弊社取締役である村上から、助言をいただきました。「神戸という土地は東京や大阪と違い、一歩横から俯瞰してものごとを見ており、あなたが考えていることをうまく形にしてくれる人がいっぱいいる」と。幼い頃に母の実家が灘駅の近くにあり、夏休みに長期滞在もしました。神戸に特別な思いがあったことから、本社は東京ですが神戸の方にお願いしたらおもしろいのではとGOサインを出しました。複数名ご提案いただいたのですが、直感で江藤さんがいいと確信しお願いしました。

江藤さん:神戸クリエイターズノートを通してではありますが、突然お声がけいただいたので戸惑いました。正直なところ、「関東の会社さんがなぜ私に?」「ものすごい実績があるわけでもなく、他のクリエイターさんもたくさんいらっしゃる中、本当に私でいいんですか?」という気持ちでしたね。しかしすぐに吉田社長の温和なお人柄に魅了され、70周年を機に変わっていきたいという想いをうかがい、一緒に新たなページを刻めるプロジェクトにも魅力を感じて、「ぜひ関わりたい!」と心境が変化しました。「なんで?」という疑問はひとまず置いておいて、楽しんでやることにしました。直感だったとは驚きです(笑)。

吉田さん:直感人間なんです(笑)。


コウベビューティー株式会社 代表取締役 江藤 洋平さん


−70周年のロゴ制作がはじまりだったんですね。

江藤さん:そうですね。創業当時のお話からうかがいながら70周年ロゴのテイストを決めていきました。

吉田さん:江藤さんにお願いして大正解で、オンラインの打ち合わせがメインでしたが、社員からも江藤さんは柔らかい雰囲気でありながらも素晴らしい提案をしてくれると好評でした。

江藤さん:プロジェクトチームを組んでいただいていたので、その方々の後押しもあり気に入っていただける提案につながったのだと思います。コロナ禍だったことで、みなさんがオンラインミーティングに慣れておられたことがよかったですね。どうしても神戸と東京は物理的な距離があり、頻繁に足を運ぶことはできないので、コロナ禍以前だったらプロジェクトの進行はスムーズにいかなかった気がしています。

吉田さん:とはいえ、ポイントではご訪問いただきました。最初に関西支社にお越しいただいたのですが、弊社は東京本社・関西・山形の拠点ごとにカラーが全然違うので、やっぱり東京本社にも来てくださいと。コロナ禍でなければ山形や海外拠点にも行っていただきたかったですね。

江藤さん:行きたかったです(笑)。


「70周年ロゴ」の制作過程


−70周年ロゴ製作のあと、名刺や封筒、WEBサイトのリニューアルまで手がけられたとうかがいました。

江藤さん:ロゴを名刺や封筒に展開したり、70周年イベントのアイデアを出したりもしました。富士電工さんは社内外でいろんな取り組みをされて、社内への共有はできていました。しかし、当時のWEBサイトには取り組み内容の情報が少なく、富士電工さんのポテンシャルが外部に伝わっていませんでした。商品を調達して販売する商社機能だけではなく、お客さまのニーズに合わせて商品を加工・改良するメーカー機能も兼ね備えているからこそ、相談しやすい環境を整えることで事業の拡大が見込めると考えました。また、社員の方々とお会いする中で感じたことが、誇りを持ってお仕事されているということでした。皆さんの中に、「電線は電気だけではなく、人も未来もつなぐものだ」という考えが根底にある。そこで提案したのが「BE FOUND」と「CONNEXT」というコンセプトです。「BE FOUND」は、今まで埋もれていた富士電工さんならではのさまざまな取り組みを、WEBサイトに訪問した方へ「見えるように、見つけてもらえるようにしよう」というプロジェクトとしての指針です。「CONNEXT」は会社の強くアツい想いをスローガンにしたもので、商標まで取得いただきました。

吉田さん:BtoBのニッチなビジネスなので昔からのお客さまに集中していた事情もあり、これまでは外に発信する必要性が低かったのですが、今は電線業界の中身は目まぐるしく変化し受け手が増えています。積極的に発信するべき状況下において、「BE FOUND」の指針と、社内外からユーザー、そして未来へとつなぐ「CONNEXT」のスローガンは心に刺さりました。もともとスローガンは依頼していなかったのですが、素晴らしいご提案をいただいたので商標を取得し、広告などにも展開しています。


未来へとつなぐ「CONNEXT」のスローガン


−リニューアル後のWEBサイトの反響はいかがですか。

吉田さん:例えば、エンジン車から電気自動車へと移行してきていますが、電気自動車内は電線だらけです。ドローンやロケットにも電線は使用されています。WEBサイトをリニューアルしたことによって、昔からお付き合いのあるお客さまにも「こんな分野も対応していたの?」「ここまでやってくれるなんて知らなかった」とお声をいただき、ビジネスの幅がグッと広がっています。特に大型客船「三代目さるびあ丸」の事例に対する反響は大きく、私にとっても非常に意義のある大きなプロジェクトでしたので嬉しいですね。

江藤さん:WEBサイトのリニューアルポイントの一つが、吉田社長がおっしゃった「三代目さるびあ丸」を代表とするプロジェクト事例の掲載です。お客さまがそれぞれの事情と重ね合わせて富士電工さんに仕事を依頼するイメージを持ってもらうことを意図しているので、成果が出ているのであれば私も嬉しいですね。実は「三代目さるびあ丸」については携わられた社員の方に原稿を書いていただいています。自分ごととして愛着を持ってもらえるWEBサイトにするため、できるだけ社員のみなさんにWEBサイトに関係してもらうように工夫しています。そしてもう一つ、富士電工さんの強みである品質管理の部分を明確にしたことも大きなポイントです。

吉田さん:問屋というポジションは「作る」と「使う」の間なので、不良が起きたときに一番に責任を問われます。品質管理は私たちが最も注力していることの一つで、エンジニアや職人はいかに問題を減らすかを日々考えて奮闘しています。業界のことを知らない人からしたら見逃してしまいそうなことも、江藤さんにうまく汲み取っていただきました。


取材中も、終始笑顔の絶えないお二人


−今後の展望をお聞かせください。

江藤さん:WEBサイトについてはまだ完成ではありません。ちょっとずつ成長させることができるツールなので、富士電工さんの方でやりにくい部分は私に任せてもらって、できることはみなさんで取り組んでいただきたいと思っています。

吉田さん:今後電線は、私たちの予測を越えた分野にまで活躍の場が広がるでしょう。小さい会社だからこそ、どこに焦点を当てて可能性を求めるかを、感度のよいアンテナから情報を拾い、決断しながら進まなければなりません。キーは多様性だと思うので、さまざまな文化や背景を持つ人たちが力を合わせることで生み出されるパワーに期待しています。江藤さんにも引き続き会社を盛り上げる外部アドバイザー的な役割をお願いしたいです。

江藤さん:任せてください!プロジェクトをとおして、吉田社長から「つなぐ」という言葉が頻繁に出てこられたことが印象的です。富士電工さんの進化を下支えできるよう、WEBサイトをはじめとするデザインは会社や人をつなぐツールであることを肝に銘じながらお手伝いさせていただきます。

吉田さん:神戸クリエイターズノートにつないでいただいたご縁のおかげで、内に閉じこもっていてはあり得なかった景色が見えるようになり、今後の事業展開についてもワクワクしています。神戸のクリエイターには、神戸だけではなく全国の企業を盛り上げる力があると思います。大企業や有名企業とは違い、目立つ業界ではない会社だからこそ、クリエイターの力を借りることで思ってもみなかった飛躍が叶うと感じます。課題を抱えておられる中小企業の方は、神戸クリエイターズノートにご相談されてみてはいかがでしょうか。



富士電工株式会社の詳細はこちら

コウベビューティー株式会社についてはこちら (神戸クリエイターズノート)


文章:梶本 佳世